非常勤医師が設立した法人に支払う報酬に事業性はありますか?

 こんにちは。税理士の竹居です。

医療法人を経営する理事長からのご質問です。

代診ドクターから法人(事業会社)を設立したので、報酬は個人口座ではなく法人口座へ入金して

欲しいと言われました。

今まで給与として支払っていましたが、法人口座へ入金して問題ないでしょうか?

 医師法第1条で「医療及び保健指導は医師の職分であること」、医師法第17条で「医師でなければ

医業をしてはならない。」この文言から医師の資格は個人に付与されていると解釈出来ると思います。

  また、医療行為が行える法人は医療法人に限定されているため、一般の事業会社で医療行為を

行うことは出来ないと考えるのが妥当だと思います。

上記から判断すると継続的に時間的な拘束を受ける役務提供は、医師個人に帰属する労働の対価

と考えるのが自然であり、医療法人が代診ドクターに支払う金品は雇用の対価により支払う給与と

考えた方がよさそうです。

給与であれば源泉徴収義務が生じことになり、医療法人が源泉徴収をしないで支払っていると源泉

徴収義務違反に問われることにもなりかねません。

 また、この代診ドクターも所得税の申告漏れを指摘される可能性が高いです。

ということで、代診の先生には違法性が強いことをお話されることをお勧めします。

 実際に上記と同様の事例が国税不服審判所で争われ、法人設立後も医師の対価は個人の所得

に帰属するとされた採決もあります。(昭和62年12月25日採決

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