医療法人の理事長を解任したいのですが、任期の途中で解任出来ますか?

 こんにちは。税理士の竹居です。

医療法人の若先生からのご質問です。(お父様が医療法人の理事長をなさっています。)

父は現在診療をまったくしていません。仕事をしていないにもかかわらず、高額な給与(月額120万円)を

取っています。そのうえ、このたび父が医療法人に賃貸しているクリニックの家賃の値上げまで要求して

来ました。 もはや我慢がなりません。医療法人の理事長を今期限りで解任したいと思います。可能

でしょうか?

 

 親子がドクター同士の医療機関では、この手の話は良く聞きます。

大なり小なりどこの医療機関でも抱えている問題です。

  さて、一般的に医療法人の理事長を解任することは可能かという問題を考えていきます。

医療法48条の3の4項に示すように臨時社員総会を開催し、決議が得られれば、任期の途中でも理事

長を解任することは可能です。臨時社員総会で決議するには、総社員の過半数の出席、出席社員の

過半数の賛同が得られれば解任することは可能です。

ここで、医療法46条の2の3項では役員の任期期間を2年を超えることが出来ないと定めています。

もし、特段の理由もなく理事長を解任した場合には解任から任期満了までの期間(最高で2年近く)

の役員報酬を要求される可能性がありますので、十分ご注意下さい。

 

 上記のような手続きを踏んでも赤の他人の場合には大きな問題になりませんが、こと親族の争いに

なるとそうはいきません。事業を離れても親族としての付き合いがあります。

難しいとは思いますが、お父様とよく話し合い、双方譲り合えることは譲って、解決していくことが望まし

いと思います。お父様には税理士に「仕事をしないのに報酬を支払うと過大役員給与に認定される」、

「理事長と医療法人の取引は利益相反取引になるので、管轄の行政に特別代理人を選任する必要が

あり、相場とかけ離れた家賃設定は認めて貰えない。」と言われたと言ってみてはいかがでしょうか。

医療法人を飛び出すとか理事長を解任するのは最終手段と考えた方が良いと思います。

 

【参考法令】

医療法48条の3の4項

理事長は、総社員の5分の1以上の社員から会議に付すべき事項を示して臨時社員総会の招集を請求

された場合には、その請求のあった日から20日以内に、これを招集しなければならない。

ただし、総社員の5分の1の割合については、定款でこれを下回る割合を定めることができる。

 

医療法46条の2の3項

 役員の任期は、2年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。

 

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