こんにちは。税理士の竹居です。

前回に引き続き今回は、利益相反取引を行う場合についてご説明します。

 

【利益相反取引に該当する場合の手続き】

まず、利益相反取引に該当する取引を行いたい場合は、理事長に代わって医療法人を代表して取引を

行う人を選任する必要があります。理事長に代わって理事長個人と取引を行う人を「特別代理人」と

言います。利益相反取引に該当する取引を行う場合は、事前に厚生労働大臣または各都道府県知事等

の監督官庁に特別代理人の選任の認可申請を行い、認可を受けた後に取引を行う必要があります。

一般社団法人では社員総会や理事会、株式会社では株主総会や取締役会で過半数の承認を受ける

ことで足りますが、医療法人の場合は主務官庁に特別代理人を選任申請しなければいけない点が

もっとも異なる点になるでしょう。

特別代理人は特に資格の必要もなく誰でもなれますが、主務官庁は特別代理人に選任された人物が

その業務を行うにふさわしいかどうかを判断した結果、認可します。

また、特別代理人は、その取引が適正な取引であることを証明する必要があります。

 上記趣旨からみて、特別代理人が理事長の親族では公正中立が保てないという理由で認可されない

です。特別代理人を選任する場合は、理事長の親族は避け、第三者を申請されることをお勧めします。 

 

【医療法人が理事長以外の役員と取引を行った場合】

 つぎに医療法人の理事長以外の役員が医療法人と取引を行った場合も特別代理人を選任する必要が

あるのでしょうか。この場合は、利益相反取引に該当しない為、特別代理人を選任する必要はありま

せん。医療法人の業務執行代理権は理事長のみが有し、理事や監事は業務執行代理権を有していな

いからです。医療法人は株式会社と違い理事長のみが代理権を有してる法人だからです。 

法  律

条  文

医療法46条の4①

理事長は、医療法人を代表し、その業務を総理する。

 

 【特別代理人を選任せずに利益相反取引を行った場合】

 特別代理人を選任せずに取引を行った場合について医療法には規定がありません。

民法の規定を準用すると、特別代理人を選任しないで行われた取引は、代理権のない者により行われ

た無効な取引であると考えられます。このような無効の取引があった場合については民法においても

諸説あります。私自身も実際に利益相反取引と深く考えずに行ってしまったことが過去にありますが、

特に問題になりませんでした。ではどういう時に問題になるかといいますと、主務官庁の認可を受ける

必要がある分院展開や医療機関の移転を行う場合です。

このような場合に特別代理人の認可を受けることなく、利益相反取引を行っていたことが分かった場合

は問題になり、認可を受けることすら出来ない可能性があります。

特別代理人を選任しないで利益相反取引を行った場合は、まず主務官庁に相談して、その判断のもと

に対応して頂くことが重要になります。