医療法人の名称を変更したいのですが、可能ですか?

こんにちは。税理士の竹居です。

医療法人の理事長からのご質問です。医療法人の名称を変更したいのですが、可能ですか?

  

医療法人の名称は変更することが可能です。

ただし、変更するには定款変更をする必要があります。

定款変更をするには、医療法人の所在地の都道府県(医療機関が複数の都道府県にある場合は関東

信越厚生局)に認可申請書を提出します。

この場合、各都道府県により管轄内にすでにある名称には使用出来ないとしている都道府県もあり

ます。認可後は法務局で登記する必要があります。

個人から医療法人への業務移行時期についてのシミュレーション

 こんにちは。税理士の竹居です。

本日は措置法26条の活用についての話です。

この制度は社会保険診療報酬が5,000万円以下の医療機関が受けることが出来る優遇税制です。

税制改正の時期になると制度の廃止が話題になることでも知られています。

保険診療が中心の医療機関の場合は、社会保険収入だけで5,000万円を超えてしまうケースも多く、

また仮に5,000万円以下の場合でも家族へ給与を支払っている場合は実際の経費の方が多くなってし

まい活用出来ないケースも多いです。

 そんな優遇税制ですが、法人成りした場合は法人へ業務を移管する時期によって、この優遇税制を

活用出来るケースがあります。移管する時期によっては税金が数百万円も違ってくる場合もあります。

また、よくお客様から「何月から法人に業務を移管した方が良いですか。」と聞かれます。

①個人より法人の方が税率が低いこと、②給与所得控除が使えることから法人登記完了後は速やか

に法人に業務を移管する方が有利と答えています。

そこで移行時期によりどの程度有利になるかを検証した事例をPDFファイルに添付しました。

   クリック↓

法人業務移行時期シミュレーション

医療法人の理事長を解任したいのですが、任期の途中で解任出来ますか?

 こんにちは。税理士の竹居です。

医療法人の若先生からのご質問です。(お父様が医療法人の理事長をなさっています。)

父は現在診療をまったくしていません。仕事をしていないにもかかわらず、高額な給与(月額120万円)を

取っています。そのうえ、このたび父が医療法人に賃貸しているクリニックの家賃の値上げまで要求して

来ました。 もはや我慢がなりません。医療法人の理事長を今期限りで解任したいと思います。可能

でしょうか?

 

 親子がドクター同士の医療機関では、この手の話は良く聞きます。

大なり小なりどこの医療機関でも抱えている問題です。

  さて、一般的に医療法人の理事長を解任することは可能かという問題を考えていきます。

医療法48条の3の4項に示すように臨時社員総会を開催し、決議が得られれば、任期の途中でも理事

長を解任することは可能です。臨時社員総会で決議するには、総社員の過半数の出席、出席社員の

過半数の賛同が得られれば解任することは可能です。

ここで、医療法46条の2の3項では役員の任期期間を2年を超えることが出来ないと定めています。

もし、特段の理由もなく理事長を解任した場合には解任から任期満了までの期間(最高で2年近く)

の役員報酬を要求される可能性がありますので、十分ご注意下さい。

 

 上記のような手続きを踏んでも赤の他人の場合には大きな問題になりませんが、こと親族の争いに

なるとそうはいきません。事業を離れても親族としての付き合いがあります。

難しいとは思いますが、お父様とよく話し合い、双方譲り合えることは譲って、解決していくことが望まし

いと思います。お父様には税理士に「仕事をしないのに報酬を支払うと過大役員給与に認定される」、

「理事長と医療法人の取引は利益相反取引になるので、管轄の行政に特別代理人を選任する必要が

あり、相場とかけ離れた家賃設定は認めて貰えない。」と言われたと言ってみてはいかがでしょうか。

医療法人を飛び出すとか理事長を解任するのは最終手段と考えた方が良いと思います。

 

【参考法令】

医療法48条の3の4項

理事長は、総社員の5分の1以上の社員から会議に付すべき事項を示して臨時社員総会の招集を請求

された場合には、その請求のあった日から20日以内に、これを招集しなければならない。

ただし、総社員の5分の1の割合については、定款でこれを下回る割合を定めることができる。

 

医療法46条の2の3項

 役員の任期は、2年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。

 

基金の返還について教えて下さい。

こんにちは。税理士の竹居です。医療法人の理事長からのご質問です。

医療法人は基金拠出型であり、設立時に基金はいずれ返還して貰えると聞いているが返還出来る時期

や手続きについて教えて欲しい。

 

基金を返還するには定時社員総会の決議を踏む必要があります。

返還出来る要件は、貸借対照表上の純資産額が基金の総額等を超える場合で、返還金額はその超過

額を限度とします。

つまり、①基金の金額(代替基金も含む)、②資産の時価総額が取得価額を超える場合は、時価評価

額を基準にした純資産額、③資本剰余金。これらの3つの金額を超えた金額が返還金額の限度になり、

医療法人の債権者の保護をはかるための規制制度になります。

返還の際は、返還する金額に相当るする代替基金を貸借対照表の純資産の部に計上する必要があり

ます。代替基金は取り崩すことが出来ませんのでご注意下さい。

 

               貸 借 対 照 表(返還前)

 

 

 

資産 23,000,000円

 

 

 

負債  3,000,000円

 

基金  5,000,000円

 

利益剰余金

   15,000,000円

 

 

 

    【仕訳例】

  (基   金)5,000,000/(普通預金)5,000,000

  (利益剰余金)5,000,000/(代替基金)5,000,000

                      ↓ 

              貸 借 対 照 表(返還後)

 

 

 

資産 18,000,000円

 

 

 

負債  3,000,000円

 

代替基金

  5,000,000円

 

利益剰余金

   10,000,000円

 

 

      

 

理事長が医療法人と取引すると利益相反取引になりますか?-後編-

 こんにちは。税理士の竹居です。

前回に引き続き今回は、利益相反取引を行う場合についてご説明します。

 

【利益相反取引に該当する場合の手続き】

まず、利益相反取引に該当する取引を行いたい場合は、理事長に代わって医療法人を代表して取引を

行う人を選任する必要があります。理事長に代わって理事長個人と取引を行う人を「特別代理人」と

言います。利益相反取引に該当する取引を行う場合は、事前に厚生労働大臣または各都道府県知事等

の監督官庁に特別代理人の選任の認可申請を行い、認可を受けた後に取引を行う必要があります。

一般社団法人では社員総会や理事会、株式会社では株主総会や取締役会で過半数の承認を受ける

ことで足りますが、医療法人の場合は主務官庁に特別代理人を選任申請しなければいけない点が

もっとも異なる点になるでしょう。

特別代理人は特に資格の必要もなく誰でもなれますが、主務官庁は特別代理人に選任された人物が

その業務を行うにふさわしいかどうかを判断した結果、認可します。

また、特別代理人は、その取引が適正な取引であることを証明する必要があります。

 上記趣旨からみて、特別代理人が理事長の親族では公正中立が保てないという理由で認可されない

です。特別代理人を選任する場合は、理事長の親族は避け、第三者を申請されることをお勧めします。 

 

【医療法人が理事長以外の役員と取引を行った場合】

 つぎに医療法人の理事長以外の役員が医療法人と取引を行った場合も特別代理人を選任する必要が

あるのでしょうか。この場合は、利益相反取引に該当しない為、特別代理人を選任する必要はありま

せん。医療法人の業務執行代理権は理事長のみが有し、理事や監事は業務執行代理権を有していな

いからです。医療法人は株式会社と違い理事長のみが代理権を有してる法人だからです。 

法  律

条  文

医療法46条の4①

理事長は、医療法人を代表し、その業務を総理する。

 

 【特別代理人を選任せずに利益相反取引を行った場合】

 特別代理人を選任せずに取引を行った場合について医療法には規定がありません。

民法の規定を準用すると、特別代理人を選任しないで行われた取引は、代理権のない者により行われ

た無効な取引であると考えられます。このような無効の取引があった場合については民法においても

諸説あります。私自身も実際に利益相反取引と深く考えずに行ってしまったことが過去にありますが、

特に問題になりませんでした。ではどういう時に問題になるかといいますと、主務官庁の認可を受ける

必要がある分院展開や医療機関の移転を行う場合です。

このような場合に特別代理人の認可を受けることなく、利益相反取引を行っていたことが分かった場合

は問題になり、認可を受けることすら出来ない可能性があります。

特別代理人を選任しないで利益相反取引を行った場合は、まず主務官庁に相談して、その判断のもと

に対応して頂くことが重要になります。

 

理事長が医療法人と取引すると利益相反取引になりますか?-前編-

こんにちは。税理士の竹居です。

医療法人の理事長からのご質問です。医療法人が所有している車両が古くなったので、法人から購入

しようと思っている。この場合は利益相反取引になり、主務官庁に特別代理人を選任しなければならず

面倒なことになると聞いた。利益相反取引について詳しく教えて欲しい。

 

 医療法人と理事長個人が直接取引を行う場合は、医療法人が不利益を被る可能性が高く、このような

取引のことを利益相反取引といいます。

ここに医療法人所有の土地を理事長個人が購入する場合を例に考えてみましょう。

土地の売買契約の当事者として、売主は医療法人の業務執行代表者である理事長が務め、買主が

理事長個人であるとすると、売主も買主も同一人物という図式になります。

このような取引が行われる場合、一般的に考えられることは買主である理事長個人は相場より安い金額

で購入したいと考え、売主である医療法人は相場より安い金額であることを知りながら売却する可能性

があるということです。

医療法人が相場より安い金額で売却すると、医療法人は不利益を被る一方、理事長個人は相場より

安い金額で購入することができ、利益を受けることになります。

このように利害関係が一致することにより、医療法人の利益を犠牲にして理事長個人の利益を優先する

可能性のある行為を「利益相反取引」といい、医療法46条の4⑥で利益相反取引について特別代理人

を選任することが規定されています。 

法  律

条  文

医療法46条の4⑥

 医療法人と理事との取引が相反する事項については、理事は代理権を有しない。この場合においては、都道府県知事は、利害関係人の請求により又は職権で、独別代理人を選任しなければならない。

 医療法人の大半を占める一人医師医療法人である社団医療法人は、うっかりすると公私混同をして

しまうケースがあります。

 ただし、全ての取引が利益相反取引に該当する訳ではありませんので、利益相反取引に該当する

ものと、該当しないものを表形式で作成しました。  

利益相反取引に該当する場合

利益相反取引に該当しない場合

・医療法人を売主とし、理事長個人を買主とする

 売買行為 

・理事長個人を売主とし、医療法人を買主とする

 売買行為

 ・医療法人を借主とし、理事長個人を貸主とする

 賃貸借行為

 ・医療法人を貸主とし、理事長個人を借主とする

 金銭貸付(利子の有無を問わない) 

・医療法人を借主とし、理事長個人を貸主とする

 有利子の金銭貸付

 ・医療法人から理事長個人への贈与

 ・理事長個人の借入に対して、医療法人の資産

 を担保とする場合 

・理事長個人が医療法人に対して財産の無償

 贈与を行う場合 

・医療法人を借主とし、理事長個人を貸主とする

 無利子・無担保の金銭貸付行為 

・医療法人の借入について、理事長個人が個人

 保証をする行為 

・医療法人の債務について理事長個人が債務

 の引き受けをする行為

  

 利益相反取引に該当する場合と該当しない場合についてご理解されましたでしょうか。

今回のご質問のケースを表に照らし合わせると、利益相反取引に該当します。

次回は利益相反取引に該当する場合の手続きについてご説明します。 つづく・・・

基金拠出契約書に印紙貼付は必要?

こんにちは。税理士の竹居です。

東京都では医療法人設立本申請書の提出時期ですね。

平成19年4月以降に社団医療法人を設立する場合は基金拠出型医療法人しか設立出来なくなりま

した。

 さて、基金拠出型医療法人を設立する場合には医療法人と基金を引き受ける者との間で基金拠出

契約書を交わしますが、皆さんはこの契約書に印紙は貼付されていますか?

 

国税庁のHPに基金拠出契約書に貼付する印紙の取り扱いについての質疑応答の回答がでていま

した。譲渡する財産の種類に応じて課税文書が異なります。

 ①金銭を拠出した場合には金銭消費貸借契約に該当(第1号の3文書)

 ②不動産を拠出した場合には不動産等の譲渡に関する契約書に該当(第1号の1文書)

 ③金銭債権を拠出した場合には債権譲渡に関する契約書に該当(第15号文書)

 

 なお、基金拠出契約書が2つ以上の号に該当する契約書の場合の扱いも国税庁のHPに記載があり

ます。ついつい医療法人を設立することばかり気を取られがちですが、意地悪な税務職員に指摘される

前に契約書の印紙貼付までしっかりやりましょう!